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お前も国家公務員(技術系)にならないか?

Kiai
@Ningensei848

この記事はklis Advent Calendar 2025 - Adventarの6日目の記事です(〆切という概念は消し飛んだ

現在klisな人、かつてklisだった人、これからklisになる人たちで記事を書きましょう。 本文に「klis」が入っていれば、内容は問いません。

かつて klis だった人、というかいわゆる Alumni (klis16) の kubokawa a.k.a. Kiai です。

klis16 がもう10年前になってしまう事実から目を背けていたら投稿を失念しておりまして。。。 (というよりは、放置しすぎた本ブログのフロントエンドを改修するのに手間取ってしまい以下略 いつの間にか Dousaurus も v3.9.2 かぁ~~すごい進化したものだ

はじめに

まぁこういうのにOBが参加するとありがちな、いわゆるリクルーティングな側面があることはお伝えしておきます。 ぜひ有望な後輩諸兄に於かれましては、下手にベンチャやら外資やらに新卒カード切るよりも、ぜひ一旦は大きなJTCたる国家公務員を検討の一つに入れていただけたらな、などと思料……

ならない?

国家公務員(技術系)

ってなんだよ(素朴な疑問)

突然ですが、国の行政機関では、多くの理系出身の方が働いています。 日本という国の設計を担うジェネラリストとして、また、現場の最前線を担うスペシャリストとして、それぞれの専門知識を生かして社会に貢献し、日本や世界で活躍しています。

cf. 技術系分野で輝く先輩たち - 人事院

日本という国の設計を担うジェネラリスト」であり、「現場の最前線を担うスペシャリスト」でもあるのが、技術系の国家公務員です。

…といわれても、「国の設計ってなに?」とか「国会対応が~」とか、色々な反応があるかと思います。

国家公務員てヤバい?それって実は〇〇だからかも

ハラスメントが凄まじいとか、ワーク・ライフ・バランスが~とか世間のイメージは散々ですが、そういう人々が国の中枢を動かしているのは認めましょう。 そのような、いわゆる激務と呼ばれる労働を課されるのは、「キャリア組」として偉くなることを半ば約束された総合職(いわゆる「官僚」)という人々が主です(国会対応マジで感謝)。 それは、技術系を志すのとは別の人々にこそ待ち受ける試練であり、実際には「現場」から縁遠い天上の存在、というのが共通見解かなと思われます。

他方、技術系で採用される国家公務員は一般職として入ってくることになります(まぁもちろんピカイチであれば別の入口も開かれるのですが措いといて)。 つまり、

世間の想像する国家公務員、すなわち「官僚」
(= 国会対応 = 総合職(キャリア組) = 常識を超えたハードワーク[もちろんそれに見合うやりがいと報酬])

って感じです (最近はこの図式も超限戦というか、国力を削る超長期的な情報戦の一つなんだろうか~と思うなど)。

一般職(技術系)という選択肢

古風な価値観の諸兄においては「🍞職?寿退社を目指すチャンネがノリで入ってくるアレでしょ?」みたいなご意見もあるかもしれません (あまりにマッチョイズムすぎるので今すぐ棄ててください)。

国家公務員には「総合職」「一般職」というキャリア上の分類(入ってからだとないものとされる)があり、これに加えて採用時に「採用区分」というものがあります。 平たく言えば「どんな試験を突破して入ってきたのか」≒「何が得意なのか」を表す概念です。 大きく分けて3つの区分に分けられます。

  1. 文系出身者が主に志す「行政区分」
  2. 幅広い理系分野が揃った9つの「技術区分」
  3. これらを引っくるめた早熟なジェネラリストを発掘する「教養区分」

まずイメージするのは、もしかすると入学してすぐに公務員講座等を受講するような真面目な学生かもしれません (行政区分ガチ勢だとそうなるかも)。 早めの対策が必要になる理由として考えられるのは「官庁訪問(採用面接)」が一番の大きな理由かと思います。 筆記試験を通過したと思ったその矢先に、面接による人物試験の合否も聞かないまま各省庁を巡ることになる異常ムーヴを要求されるため、事前に入念な計画立案が必須となっています。

info

最終的に、人事院が実施する試験合格までの倍率だけでいえば 2.0~3.0 倍程度ですが、やはり実際に現場の先輩達が面接官をやって戦力となる人材を見極める…という壁が志望者を阻むようです。

しかし!それはあくまで行政区分の話であって、各ジャンルの技術区分においては「超々!売り手市場」が形成されているのでぜひオススメしたい!

技術畑で国家公務員になりたい!

行政区分については措いておくとして、技術区分についてのみ言及します。

技術系は売り手市場?

技術系に関しては、ここだけの「極秘データ(実は公開されているが気づかれにくい事実)」があります。 なんと、直近(2024年度)の試験結果を見ると、多くの技術系区分で**「合格者数」が「採用予定数」を下回る(定員割れ)という異常事態が起きています。 つまり、実質的な最終倍率は「限りなく1倍に近い(=選り好みしなければ、ほぼ確実にどこかの省庁には入れる)」**という「超・売り手市場」なのです。

上記は本記事を執筆するにあたり Gemini に調べさせたときの報告の一部ですが、まさかの定員割れ。。。

cf. 2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び専門職試験(大卒程度試験)の合格者発表 - 人事院

そして、2025年度も同様に定員割れ、しかもさらに深刻な状態に陥っています(たすけて~~)

cf. 2025年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び 専門職試験(大卒程度試験)の合格者発表 - 人事院

どうすればいい? → 試験を突破しよう

ぶっちゃけ筆記試験については、klis こと 𝔎𝔫𝔬𝔴𝔩𝔢𝔡𝔤𝔢 𝔞𝔫𝔡 𝔏𝔦𝔟𝔯𝔞𝔯𝔶 𝔖𝔠𝔦𝔢𝔫𝔠𝔢 の諸君であれば、特に苦も無く通過できるものと思います。 かくいう私も、学業が全くうまく行かない時期(人生の暗黒停滞期)に一ヶ月程度ガチって参考書を2冊ほどパラパラ解いただけで試験合格者の上位4割くらいでした。

オススメ、というかほぼ確ですが、「デジタル・電気・電子」での受験が情報系の専門性をそのまま活かせて便利です(通称:デジ電電)。

技術区分(デジタル電気電子) 受験者へのメッセージ

参考:専門試験(多肢選択式)

センター試験共通テストを勝ち抜いてきた方々であれば、まぁ余裕でどうにかできる範疇だと思料


また、ごく少数ではありますが、学部時代の専門とは別の区分で受けて入り込み、まったくの異分野で本来の専門性を活かして無双するという人も存在しています。 「デジ電電」の "専門試験" でさえこの難易度設定かつ定員割れ状態を鑑みると、年明けの3ヶ月ほどガチって興味のある未経験分野を勉強し尽くし、無事に試験を突破した暁には、もとの情報系の専門性を活かしつつ「異世界転生」を現実の中央省庁で楽しむ……という人生も転がっているかもしれません。

2026年度の採用スケジュール

Q. 「もしかして、私もなれるのかな。。。」

A. なれます!!!!!!!!!!!


2026年の国家公務員採用総合職試験(春)等の日程について」を見ると、スケジュールがすでに確定していることがわかります。 Geminiに整理させたので、以下を参照してください:

2026 年の一般職試験(大卒程度試験)の実施スケジュール

時期イベントアクション・注意点
2月19日(木)〜3月23日(月)受験申込(インターネット)【運命の分かれ道】
ここで「技術系」か「教養区分」かを選択します。
※一度選ぶと変更できません。
5月31日(日)第1次試験(筆記試験)【本番】
◯ 技術系:基礎能力+専門試験+論文
◯ 教養区分:基礎能力+課題対応能力+論文
※専門試験がない代わりに、知能テストのような課題対応が出ます。
6月中旬〜官庁訪問の予約開始志望省庁の説明会に参加し、面接(官庁訪問)の予約を入れます。
※ここが事実上の就活本番です。
6月下旬(予想:24日頃)第1次合格発表合格通知がネットで見られます。
7月上旬〜官庁訪問(面接)開始【最重要】
人事院の面接とは別に、各省庁に自分を売り込みに行きます。ここで「内々定」が出ます。技術系はここが早いです。
7月8日(水)〜7月24日(金)第2次試験(人物試験)人事院による性格検査と個別面接です。リラックスして臨めば大丈夫です。
8月12日(火)最終合格発表ここで名前があれば、晴れて「国家公務員有資格者」です。まだ内定がない場合は、ここから「採用面接」が続きます。

国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)|国家公務員試験採用情報NAVI(令和7年12月06日現在)においては、まだ2025年度の日程しか記載されていませんのでご留意ください。

国家公務員(技術系)の魅力...?

かくいう私も転職組なので歴は浅いところ、どのような決め手があって今いるところを志望したのか雑感をば。。。

やりがい(内的動機づけ)

自分の中ではこれが一番大きな理由です。 というか、今年の夏くらいから徐々にそうなってきて、いま一番大きくなった(多分今後裁量が大きくなるに連れ強くなり続ける)と思います。

「異世界転生」って言及しましたが、klis で過ごした4年間(若しくはそれ以上)で培ったことって、ただ学問するだけでなく、これからの時代に公務員に求められることを網羅しているように思えます。 しょーじき、2020年代前半までは平成残滓が色濃く残るふざけたJTCという印象が強すぎてどうしようもない感があったことは認めましょう。 しかし今年の夏からは状況が一変し、さながら「黒船来航」のごとく、各省庁において MS Copilot が業務に組み込まれるようになりました。 これまでの Word/Excel/PPT で人に説明することは誰でも当然のようにできるようになり、代わりに今後はより広く深い洞察と思考が要求されることになります。

……これってまさしく 𝓛𝓲𝓫𝓻𝓪𝓻𝓲𝓪𝓷 に求められる資質そのものじゃあないですか?

上司に言われたことを唯々諾々に沈思黙考するだけならもう ChatGPT ほか生成AIでよいでので、みなさまはぜひ「常にその上を行く働き」が求められる世界で一緒に切磋琢磨しましょう!

金銭(外的動機づけ)

と、理想的なことを語りつつ「世の中ね、顔かお金かなのよ~」ということで、具体的な給与に関してちょろっとお伝えします。

令和7年12月期の期末・勤勉手当

……なんかショボくね?(それはそう)


人事院勧告というものがあります。 これは、民間と比較してどの程度の給与をもらうべきか、具体的にはどのような俸給表にすればよいか定める給与法について、改定すべき金額幅を人事院として示すものだと思ってもらえればよいでしょう。 ボーナスがちょろっと減ったように見える分は、あとできちんと補填されます(だから、75万に届かないくらいの額になるはず)。

国家公務員の給与はすべて、「俸給表」に基づいて支給されます。 技術系であっても教養区分/行政区分であっても、一般職大卒程度として採用される場合には一律で「1級25号俸」を与えられることになります。 ただし、それは就業経験がない場合であって、前職等がある場合にはそこを勘案して階級が確定します。 例えば大学院に進学し2年修学したというパターンでは、1年あたり4号俸として算定され、「1級33号俸」からスタートすることになるでしょう。 俸給表を見れば分かる通り、初任給は230,000円ということになります!!

……平均給与よりも10万円近く低いやんけ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

一般職の給与、流石に低すぎ……?(解説)

流石に低すぎると感じたかもしれませんが、あれは日本全国一律で同階級の人に支払う給与を定める、というものなので、23区のAさんと北海道は夕張に勤務するYさんであっても階級が同じならベースは同じ!というタテマエを実現するためのものです。

本府省勤務の国家公務員の給与例

いわゆる霞が関ないし都内の出先機関に採用されれば(見込み残業時間30時間/月が反映されているとはいえ)、ただの大卒の若者に550万支払ってくれるのは、ちょっと夢ある話じゃないですか? (これが中央省庁の手当マジックです) フルコミットを想像すると辛くなるものの、実際にはゆるっとした職場(※総合職は除く)なので、だいぶありがて~の気持ちになりますよ~~~~

安定とステータス(不可視の価値)

大学同期で卒業と同時にベンチャーやSESへ行った彼らは、いま生成AIを発端としたダンピングに怯えて日々を過ごしているそうです。 かくいう私も、諸々あって怪しげベンチャにお世話になった時期もあり、そこで雇用され稼働する不安は痛すぎるほどによくわかります。 ましてや自分よりも賢い奴隷がすぐそばにいる状況で、これまでと同等の成果は当然として、更に広範でより質の高いアウトプットを期待され、それでいて先方が使う生成AIの結果と比較されるのだから、心理的負荷如何ほどか。。。(泣)

方や、国家公務員という身分を得た今では、少なくとも日々もんもんと将来について考え込む時間は劇的に短縮されました。 国家公務員法という盾に雇用を守られているのは大前提として、月ごとのパフォーマンス如何によって給与額が変わらない(ベンチャー時代は目に見えて波があった)し、根拠は?文書は?というドキュメントベースなやり方が自分にあっていると感じています。 おかげで毎日穏やかに、そうでないときも寝ればすぐ忘れて、のほほんとした毎日を過ごせています。

様々な職種の労働者達が並んだイラスト

余談: 人生が進むかもね~って話

読まなくてもいい余談としては、自分ももういい歳なのでコンカツ等々で仕事以外の交流を増やそうとしていますが、その際に自己紹介する場面で「国家公務員をやっています」ていうときの、キモチエエ~~~↑↑↑↑はめちゃくちゃ日々の自己肯定につながります。 (相手から見てどういう印象なのかは…)

そうじゃなく、国家公務員を妻/夫にしたいという要望あれば業界最大手IBJがやってる「ブライダルネット」も使える権利が発生します(ありがたいね~~~)

KKRブライダルネット|国家公務員共済組合連合会の婚活サービス


あとは単純に親に対して胸を張って言える職業であると思います。
俺は東京で一人、頑張って生きてるよ~~!

おわりに

12/6(土)に投稿すべき記事が次の週の日曜の夜に上がるとかだいぶ許されざるムーヴですが、いざ公務員をやっていると意外とこういう自分の専門領域って仕事でしか使わなくて億劫になりがちで。。。

といいつつ、Obsidianに関しては普通に記事書いてるし、予定調整ミスっただけですね(ごめんなさい)

総括: (誰でもいいので)来てほしい!(誰でも良いとは言っていない)

最高学府たる東大生が官僚を志さなくなって久しいですが、代わりに中堅私立からの登用が増えているそうです。 これはてっきり総合職だけに限った傾向かと勝手に思っていた(そもそも東大生は一般職を目指さないとは思いつつ)のですが、相似形の現象が一般職にも起きているようです。

これはひとえに、志願者数の減少と試験の易化によるものでしょう。 そもそもの国家公務員志望の学生を増やすのが最重要であることは揺るぎませんが、誰でもパスできるザルで選別し(たことにして)、面接だけ上手い人心掌Y握ザを現場に配属されたらたまったものではありません。。。 以下は極端な例ですが、きちんとスクリーニングが機能していないと官民両方がつらい思いをすることがあります (もちろん、行政サービスを享受する国民国家にも迷惑な話です)。


その点、klis 諸兄に於かれましては、いつどの場面にあっても活躍が期待できると評価しています。 特に、今後はより一層「知識」を活用していかねばならない場面が(ともすれば指数関数的に)増えてくるからです。 理解が浅い世間のイメージでは、理系(技術系)の新卒なんて「一点特化の専門バカ」だろう??といった向きがありがちですが、こと図書館情報学に触れた皆さんは自らの専門性(specialty)が始点(origin)であり、中心(middle)であり、核(Core)であると理解されていることでしょう。

司書として図書館に勤務することは叶わなかったとしても、そこで培った知識経験は膨大な文書を元に進んでいく国家事務にこそ真の力を発揮できると私は信じています。 少なくとも、その場を用意できないということはありえません。 すべてはあなたの "本気" 次第です。

余談の余談

今いる職場(というか部署)には、実はITF.のAlumni が私含めて3名ほどいます。 特に仲が良かったとか存在を認知していたとかではないのですが、気づいたら同じようなことをやって、同じプロジェクトに参画しています。 責任も裁量もまだほとんどないぺーぺーであることは承知しつつ、経験年数を経るごとにそういうクソデカプロジェクトを引っ張っていくことになるでしょう。

ぜひ一緒に国を支える仕事をやってみませんか

参考文献とかメモ

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