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『呉座勇一のブログ』が凍結(2022/01/24)

2022 年 1 月末に『呉座勇一のブログ』が凍結した.2022/01/14 には株式会社ゲンロンが運営する「新しい放送プラットフォーム」シラスにて,呉座勇一 × 辻田真佐憲 × 與那覇潤「歴史修正と実証主義――日本史学のねじれを解体する」に出演したり,2022/01/16 には小説家 佐藤亜紀氏の社会通念上許容される限度を超えた侮辱ツイート1に対して,抗議を表明2していた.

凍結(一回目)

本ブログが一時凍結致しまして、皆様にはご心配をおかけ致しました。

ブログの凍結と一部ブログ記事の削除は、北村紗衣氏の代理人である谷村紀代子弁護士の申請によるものです。記事公開の理由、凍結・削除に至る経緯については追ってご説明致します。

北村氏との紛争については和解で解決しておりますので、(中略)和解後に自分の手で弁護士と書面のやりとりをするのは精神的負担です。現在、心療内科に通院している状況であり、弁護士からいきなり書面を送られることじたい恐怖を感じます。人間文化研究機構との訴訟で精神的に疲弊している中、不必要な書面送付はお控えいただくよう、谷村氏には伏してお願い申し上げます

cf. 凍結につきまして - 呉座勇一のブログ (※略記と強調は引用者)

"一部ブログ記事" とは,(少なくとも一つは)以下の記事を指しているようだ:

【2022/01/13】番組出演のご案内 - 呉座勇一のブログ (※削除済み)

「番組に出演します」
「番組ではこのような内容を話します」
「文書を頂いたので,それを記事内に引用し明示した上で,その内容に関して確認と誓約をします」

三行で要約するとこんな感じであろう.それだけのブログが何故か削除された,はて?

どうやら,プライバシー違反 でこそないものの「著作権・著作者人格権による谷村弁護士個人の削除申立て」がはてなブログ運営にあったらしい.はてなブログ運営はブログを即座に凍結とはしなかったが,呉座氏が意見照会のメールを見過ごして返信期限を過ぎてしまっていたため,已む無くブログを一時凍結としたようだ.

(※サラッと書かれているが,"ゲンロン出演の反動で鬱状態だった" って結構アブない予感がしていて,メンタルがやばいときに張り切って責任あることをさせてはダメだよ周囲の方々……)

凍結(二回目)

一回だけであれば代理人弁護士ヤバぁ……となるだけで済んでいたはずのところ,何故か「凍結を報告したブログ記事を公開した後に再度凍結する」という摩訶不思議現象が 2,3 日の間発生していた.

当時の反応(情報が錯綜していて雰囲気が最悪だったと記憶している)

傍から見たら,「メールチェックできてなくてごめんなさい……記事も削除いたしました……今はメンタル厳しいので,弁護士さんが強く圧力掛けてくるのは控えてくださいお願いします(平伏)」って感じに懇願していた呉座氏を突き放すかたちで,そういうお願いをしていた記事さえも「お手紙」で無慈悲に握り潰した……と推測が立つ状況に陥っていた.どんな発言さえも許さないってそれ,無惨様よりも鬼神じみてるんですがそれは…

しかし,流石にそんなはずはなく,「お手紙」を送ったと思われていた北村氏もこの問題に言及する:

この "呉座勇一さんブログのこちらのエントリについて情報を出します" っていう言い回しもまた,コントロールしとるんやぞというのを匂わせていて香ばしいですね笑 そして当然のごとく "この文書のせいでひどいこと言われた" というポジショニングも忘れていない.

じゃあ呉座氏が自分自身で復活報告 → 即時公開停止という不審なムーヴを行なったということだろうか?確かにこのような動きを取ることで,北村氏側で再度圧力をかけて不当に弾圧しているという印象づけを強めることができたかもしれない.


1/28 追記:当記事は、はてな運営からプライバシー侵害の疑いで公開停止要請が出され、一時非公開としていました。当記事が非公開になったことに北村紗衣氏が困惑していると知人から教えてもらい、その旨をはてな運営に伝えたところ公開許可となりました。皆様にはご心配をおかけ致しました

cf. 凍結につきまして - 呉座勇一のブログ

本件経緯につきましては、ネット上で事実誤認や誹謗中傷が広がっている状況を考慮して、週明けに、はてな運営から経緯説明があるとのことです。

cf. 一連の凍結・削除・非公開・再公開などにつきまして - 呉座勇一のブログ

しかし,再公開後の即時公開停止の原因は,なんとはてな運営によるものだったということがわかった.25 日に出したブログ記事 に対して「プライバシー侵害の疑い」を掛けられたということだが,この文章のどの記述が具体的にプライバシー侵害なのだろうか?(或いは現時点では削除されて見えないだけで,当時には存在していたのだろうか)


そして,明けて 2/4 にはてな運営から説明が発表された:

削除に係る意見照会の回答期日を超過した際の対応 - Hatena Policiesの方針に基づいて送信防止措置の解除を行った後、発信者が送信防止措置に係る経緯についてブログにて公開した はてなでは、削除に係る意見照会を行う際に、申立を受けた事実や申立内容に関する情報公開を制約し、無断では公開しないよう要請している。その理由は下記のようなものが挙げられる

  • 削除申立事実や申立事由については非公開情報が含まれ、無断で開示することにより申立者の権利を侵害する可能性がある
  • 権利侵害に相当しない場合であっても、申立者や関係者に対する二次加害など迷惑が生じる可能性があり、円滑な手続きの妨げともなり得る

cf. 送信防止措置およびその経緯に係る情報開示に対する制約 - Hatena Policies

はてなマークを出して首を傾げている青年男性

イマイチわかりません(キッパリ)

呉座氏は以下のように解説している:

私の方で時系列で簡単に経緯をまとめると、以下の通りです。

  • 1/13  「番組出演のご案内」を公開する。北村紗衣氏代理人(水田弁護士、谷村弁護士)の通知書を引用した。
  • 1/14  谷村弁護士個人の削除申立てを受けて、はてな運営から意見照会のメールが私に届く(著作権・著作者人格権によるもので、プライバシー違反の指摘はない)。ただしゲンロン出演の反動で鬱状態だった私は数日間メールチェックを怠っており、意見照会のメールが来ていたことに気づかなかった。
  • 1/24  意見照会期限を過ぎたためブログ凍結。凍結によりメールに気づいた私は当該記事を削除し、同様の著作権違反を行わないことを誓約して、ブログを再公開する。
  • 1/25  凍結につきまして - 呉座勇一のブログ (hatenablog.com)で経緯を説明する。
  • 1/26  はてな運営から公開停止を要請するメール(※)が届く。凍結を避けるため、やむなく公開を停止する。
  • 2/4  公開を再開する。

このように、私のブログ記事公開は、はてな運営の要請に違反するものではありませんでしたが、はてな運営はこれを要請違反と判断して、一方的に公開停止を通達してきました。 公開停止に従わない場合は、ブログ凍結(今度は再開不可)があり得るとされており、私は従わざるを得ませんでした。 この公開停止要請は、はてな運営の「勇み足」にすぎず、北村氏や代理人の申立てによるものではないそうです。

はてな運営は、私が要請に違反しておらず、北村氏や代理人が削除申し立てをしていないにもかかわらず、規約に基づかない独自の判断でブログ記事を公開停止させました。 このはてな運営の一方的な措置は、北村氏の名誉を害し、氏に多大なる迷惑をかけたものと考えます。これは私にとっても不本意な結果でした。

cf. はてな運営の説明に対して - 呉座勇一のブログ

つまり,二回目の凍結ははてな運営の「勇み足」によるもので,呉座氏は自主的な非公開にはしていないし,北村氏もそのような要請はしていないということらしい.誰が得をするわけでもなく,はてな運営が事なかれ主義的に余計な動きをしたせいで,双方に不利益が生じてしまう結果となった.

当時の反応

これを機に note への移行を決めた人は少なくないだろう.いくらこれまで積み重ねてきた資産がはてなブログにあったとしても,「お手紙」一つで右往左往してユーザを守らない・クレーマーを利する行為しかしない運営がやっているプラットフォームには,もう信用は置かれない.もちろん note がそうならないという保証はない.オープンレター問題を契機として,プラットフォーム依存の個人発信の時代から,旧世代の個人運営ブログの時代へと回帰していくのかもしれないと感じた.




はてなのサービスはもうおしまいです(こなみ)

参考文献