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「~~女性~~差別的な文化を脱するために」を**キャンセル**させないために

Kiai

このページにまとめた通り,「オープンレター」の問題は看過し難い.

"彼らが最初共産主義者を攻撃したとき,私は声をあげなかった"と云われる1ように,ここで呼び掛け人および署名賛同者に対して「それはおかしい」と批判しなければ,キャンセルカルチャーの潮流はすぐさま濁流となって日本のインターネット言論空間を襲うだろう.

キャンセルカルチャーに徹底的に対抗する

そのために,まず「お手紙」に屈しない自分だけの居場所を確保する必要があると考えた.

具体的には,TwitterYouTube を筆頭に,Togetterはてなnote といったプラットフォームに依存しない発信の手段を手に入れねばならないと決意した.

なぜなら,これらプラットフォーマーの提供する空間は,彼らの胸先三寸でいともかんたんに制限されてしまうからである.あるいはプラットフォーマーそれ自体は Evil ではなかったとしても,「ポリティカル・コレクトネス」を錦の御旗と掲げて集団で削除を迫るという現象が簡単に起こせてしまうからだ.最近では,一部の集団による局所的な運動の盛り上げで圧をかけるのではなく,弁護士を通じて法的解決を視野に入れた宣告によって相手を屈させるというアプローチも現れ始めている.

note

たとえばこの togetter まとめは,ただの「まとめのまとめ」である.しかし,現在(2022/02/21)時点では元 URL へアクセスするとなんのアナウンスもなくトップへリダイレクトされてしまう.すべて読めば分かるが,このまとめ記事それ自体には法に触れるようなことは何も書かれていないように見える.このように,一見なんの問題もないものであってもしらみつぶしに消される異常事態が起こっている.

インターネット空間における自分だけの居場所

とは,すなわち個人ブログであろう.ただし,そんじょそこらのプラットフォーマーではすぐに「お手紙」に屈してしまい,法的には問題がなくとも,「利用規約」を盾に好き勝手されてしまう.「生殺与奪の権を他人に握らせるな」とは『鬼滅の刃』の冨岡義勇の言だが,こちらを喰い殺そうと,もといキャンセルしようと策を巡らせる鬼たちに対して,自分の生死を任せる道理はない

生殺与奪の権を他人に握らせない人

かといって,一般的な個人が独力でイチから発信の場を作り上げるのは難しい.サーバを借りるところからまず障壁となりうるし(こちらも発信者開示請求に強いプロバイダを選ぶ必要がある),そこから快適に文字を認められる環境を自前で用意するのは気が遠くなりそうだ.

そうではなく,生存戦略を見直すことで解決を試みる:「消される」ことが問題なのであれば,「消されない場所を確保する」のではなく,「消されても問題がない」ようにすればよい.すなわち,一つのプラットフォーム上にデータを預けるのではなく,複数箇所に偏在させればよい.

この理想を実現するのが Git であり2,全世界に存在する他のどんなプラットフォーマーよりもしぶとく生き残ると確信できる GitHub を頼るべきだと私は考えた. 文書がすべてリポジトリで一元管理され,更新があるたびにビルドが走り,自動で GitHub Pages にデプロイされるようにすれば,凡百のブログサービスとほぼ同等に扱えるようになるだろう.

Git is a free and open source distributed version control system

だが,デプロイされるにしても,そのコンテンツをどのように表示するのかは悩みのタネである.昨今のウェブフロント技術を俯瞰すると,それこそ無限の選択肢が存在しているが,(1)誰でも記事がかける(2)Markdown で構造化マークアップが実現できる(3)Web フロントエンジニアでなくてもカスタマイズしうる(4)将来性や拡張性が高い……等々,諸処の事情を勘案した結果として,Facebook こと Meta 社の OSS チーム3が作る静的サイトジェネレータ: Docusaurus をフレームワークとして採用することとした.

Build optimized websites quickly, focus on your content

これで単なるブログ記事の他に,特集記事とも言うべきページ群を作成することができるようになった.これまで上から下 / はじめから終わりという一次元的な方向しかなかったのが,一気に多次元的な構造化を実現するようになったというのが個人的にはかなり嬉しい.実際の制作物についてはこちらのページを参照のこと.

今後の予定

本サイトでは,この Docusaurus を活用してキャンセルカルチャーに対抗していくための知見をまとめていく予定だ.現時点では,オープンレター問題を中心に特集ページをつくっていくことを決定している.また,この骨子となる部分は OSS 的に MIT ライセンスで公開し,このリポジトリをクローンして自前デプロイまでできるようにプロジェクトを整える計画だ.

https://github.com/Ningensei848/open-letters

ある程度見られるような形に整えられたら,note や zenn でもプレスを打つことになるだろう.その時まで今しばらくお待ちいただきたい.


  1. 単なる有名なコピペというだけでなく,元々は「ドイツのルター派牧師であり反ナチ運動組織告白教会の指導者マルティン・ニーメラーの言葉に由来する詩」であるらしい
  2. "Git には「バカ」「間抜け」といった類の意味がある" が,これもキャンセル対象だろうか? cf. https://www.weblio.jp/wkpja/content/Git_歴史
  3. Meta のサービスやらプロダクトはホンマにクソだと思うくらい私の肌に合わないのだが,他方彼らの OSS がウェブフロント技術に与える恩恵が大きすぎるため,愛憎入り交じる感情で発狂しがちな毎日を送っています